『プロフェッショナル』 絵画修復家の仕事

NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』を観た。今夜のプロは“絵画修復家”だった。

これまで抱いていたこの仕事に対する華やかな印象が全て吹き飛んだ。
待った無しの劣化進行中の作品たち,要求される作業の細かさ,何十年も経験を積み重ねたプロでさえ一瞬躊躇するほどの新たな難題を引提げて運ばれてくる困難な仕事の数々。

この世に2枚と存在し得ない美術作品。失敗は許されない、という重圧の中であえて自分がやろうという決断。

十分完成と捉えて然るべき修復済作品にも少しでも引っ掛かりを覚えたら自分自身に問いかけるという;作品はどうしてほしいのか?と。作品との対話を試みながら作品のあるべき姿を目指す,たとえリスクを伴おうとも…。

もとの作家の感性を機敏に読み取る“芸術家”と、完成形(=作家が創った時の状態)が予め定められそこに近づけていく“技術者”の二つの役目を担わなくてはならない。想像以上に過酷な仕事だった。それを一つ一つ全力でやりきる姿に純粋に凄いと思った。

普段美術館で鑑賞する絵画の多くが、彼女のような職人の情熱と覚悟によって今日に伝えられているのだと改めて認識した。

再放送は11月29日(月)午前11時〜 BS2にて。