展覧会『パリに咲いた古伊万里の華』の感想

昨日書きそびれた東京都庭園美術館での展覧会『パリに咲いた古伊万里の華』へ行った感想を♪
この美術館に訪れたのは今回が初めてでした。昨日は天気がとてもよく美術館に隣接するお庭もたくさんの来場者でにぎわっていました。

美術館は元々どなたかが住んでいらしたところらしく(すいません、調べてないのでわかりません。)、多くの展示室には大きな窓があり日の光がいっぱい入っていて明るく気持ちがよかったです。…ご心配なく、もちろん作品には直接日光は当たっていませんでした。

展示数が多く、用途も意匠も種類が豊富にあってとても面白かったです。
私は金で縁取られた作品よりも、コバルトブルーの染付け(表現の幅は色の濃淡のみ)で描かれた作品のほうが好きです。しかも、池や湖など、水の風景を描いたものであまり奥の風景が書き込まれていない、想像の余地を残してくれている作品が気に入りました。(『染付梅山水人物文輪花皿』1670-90年,肥前有田)

有田焼が栄えた理由の一つとして、17世紀に全盛期を極めたオランダ東インド会社による海外への輸出が挙げられます。この頃の東インド会社は芸術品から嗜好品まで様々な製品をアジアからヨーロッパに運んでいますが、日本から磁器が多く輸出された背景には、隣国中国が反乱により貿易が妨げられたことがあったのでした。やがて中国国内の秩序が回復し、中国製の磁器が輸出されるようになると、数量的に日本製は中国製に完全に負かされてしまい、日本の有田焼は衰退の一路を辿ることになります。

これ(↑)は会場の壁に貼られた、古伊万里の解説クリップの中の一つにあったものを思い出しながら書いたものです。この有田焼に関する歴史的背景、この前の大学の文化祭の特別講演で寺島先生が話していた戦後の日本と中国についての内容(その記事へリンク→http://d.hatena.ne.jp/SORA-IRO/20091107/1257605490)を髣髴とさせることで、読んでいてとても感慨深かったです。


この展覧会は12月23日(水・祝)まで。展覧会のHP → http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/koimari/index.html
これから行こうと考えている方には、ぜひ晴れている日に行くことをおすすめします(^v^)