あぁ〜もう文楽大好きだ!!!

さて、早速昨日の文楽鑑賞の感想をはじめたいと思います(^v^)

プログラム&チラシ等詳細は公式HPへ⇒http://www.ntj.jac.go.jp/performance/3014.html

1つ目は『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)』。これはいわゆる時代物で、戦国時代の武士としてのあり方などを物語を通じて伺い知ることができて非常に興味深かったです。あらすじを事前にチェックしていかなかったので、最後の展開にはかなり衝撃を受けました。


休憩をはさんで2つ目は『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)』。前回の初・文楽鑑賞で恋に苦悩する若い娘の表情や繊細な振る舞いに大変感動したため、この演目はあらすじを知ったときから大分期待していました。先に、見終わったときの感想を申し上げますと、期待を10倍ほど上回るくらいに感動した!!といったところでしょうか。

あらすじを簡単に紹介すると―、
八百屋の娘・お七を訪ねてきた吉三郎。彼は父親の主人が刀を紛失した罪のために主人と共に切腹を免れぬ状態にありました。死ぬ前にもう一度会いたいと彼女を訪ねますが、門から出てきたのは女中。使いがあるから戻ってきたときに主人のお七にお通しすると告げて急いでいってしまいました。

「使いに行く前に伝えてやれよ…」と本気で思いました。それだけ、のめり込んでいるってことですね。

戻ってくるまで、家の軒下で待っているように言われ、そこに身を潜めていると、家の中からお七の声が聞こえてきました。
お七は両親から恋人の吉三郎との結婚を諦め、許婚と結婚するよう説得されます。そのやりとりを軒下で聞いていた吉三郎は彼女との面会を諦め、手紙を残し去っていきました。

どうしても、好きでない男と結婚するのは嫌だと肩を震わせ涙を流す彼女の気持ちに完全に肩入れして観てしまいました。女中が戻ってきて、泣きつくお七に吉三郎が来ていたことを伝えますが、時既に遅し。軒下には彼の残した手紙が置いてあるのみでした。

なんとしても吉三郎の命を助け出したいと思ったお七は刀の在り処を知っている丁稚と女中の手を借りて、その晩中の刀の奪還を決行します。

さて、刀がもしも手に入ったとしても、夜9時の鐘の音と共にそれぞれの町が門で区切られてしまう規則があったため、如何にして刀を吉三郎に手渡すことができるのかお七は困惑します。悩みぬいた末に「吉三郎が死んだ世界で自分は生きていてもしょうがない…」と、死罪を覚悟で火の見櫓の鐘を打って鳴らすことを決意するのです。

ここからがこの劇のクライマックス!お七がハシゴに手をかけると、3人の人形遣いは一度お七から離れて櫓の向こう側へ。ハシゴの絵の部分にある(観客にはほとんど見えない)隙間からお七の手を持って上に引き上げていきました。観客席からは、お七は誰の支えも受けずに一人自分の意思でハシゴを上っているかのように見えるのです。上っている間にお七は何度か切なげな表情で後ろ振り返るのですが、こういうちょっとした動きに生身の人間を思わせるかのような緊迫感を感じさせるのではないかと思います。

最後の雪が舞う火の見櫓での場面は圧巻でした。

一生懸命鐘を叩くお七の姿と「カーン、カーン」と鳴り響く甲高い音に何度身震いを感じたことか…。
そうしているうちに刀を手にした丁稚と追いかける役人(?,ごめんなさい、誰だかわかりません。)の姿が舞台に現れました。
文楽に出てくる頭(かしら)の中には、滑稽な役柄を担当する “チャリ役”というのがあり、今回の丁稚は見た目も少々調子のよい性格もまさにこのタイプ。そのチャリが今回の舞台では大活躍でした。役人(*)と刀を取り合うシーンでの彼の姿は勇敢で頼もしくとてもかっこよかったです。

殴られ、蹴られながらもお七のために何としても刀を死守しようとする女中の姿も感動的でした。

最後の大乱闘の場面は圧巻。舞い散る雪と誇らしげに刀を抱きかかえたお七には巻く引きと共に盛大な拍手が送られていました。

結局、昨日上演された2幕の中にはお七と吉三郎が会話するどころか、顔を合わせる場面すら一回も無かったのです。それなのに、お互いを慕い思いやる姿に大変胸を打たれました。あの後って、お七はやっぱり死刑なんですかね…、、そう思うとなんともいたたまれない気持ちになり、帰りに連れて帰りたい気持ちで一杯になりました(T_T)(←ちょっと危ない考えか?)あぁ〜〜〜、もう、ホントにあの2人には幸せになってもらいたいよ!!


ハイ、というわけで一日経てば多少は冷静な視点で振り返られると思ってましたが、やっぱりダメでした。どうしても、お七の心情に思いを馳せると、感情的になってしまいます。昨日の公演は大・大・大満足でした。あぁ〜、早速また観に行きたい(>_<)