二期会の『蝶々夫人』を鑑賞♪

今日は高校時代の友達と東京文化会館プッチーニ Giacomo Puccini (1858-1924)のオペラ『蝶々夫人』を観に行ってきました。
実はこのオペラ、今まであまり好きではありませんでした、題材が。ピンカートンは『リゴレット』のマントヴァ公爵と同じくらい、嫌いな人物。女の敵です!!蝶々さんがかわいそうで仕方がない!というわけで、プッチーニの音楽は『ラ・ボエーム』も『トスカ』も好きなのに、このオペラだけは、ストーリーの悲劇性がどうにも苦手な部類で(←ミミもトスカも死んでしまうけど自分にはそこまで嫌悪感はないです。なんでだろう??)、今まで聞かず嫌いでした。(トゥーランドットはリューとピン・ポン・パン合唱パート、そして、オーケストラの最後の盛り上がりの部分は大好きなものの"リューの内面的美しさ"より"トゥーランドットの外見的美しさ"に強く惹かれるカラフはロマンスもののヒーローとしてはポイント低し!)

今回の公演は音楽だけではなく演出もよかったです。ストーリーの時代に忠実な演出はもう出尽くしたのか、はたまた演出家の自己主張が強すぎなのか、奇を衒った試みが多くてなかなかオペラを“観に”いけません。あまりに自分の感性に合わないときには目を瞑って“聴く”ことだけに集中することもしょっちゅう…。なので、今回も幕が上がるまでは非常に不安でした。

でも、第一部の幕が上がるとそんな不安もどこかへ―――。
丘から臨む風景を屏風の絵で観客に見せるなど日本の古典美術をうまく舞台に取り入れているところもとてもよかったと思います。物語全体を通して登場する枝垂桜も美しかった。

このオペラの中で唯一知っていてどんな時に歌われるのか楽しみにしていたアリア『ある晴れた日に』もとても美しく、可憐な中にも蝶々さんの芯の強さを表現されていて素晴らしかったです。

結構いろんな場面で日本の国家とアメリカの国家のメロディーが登場します。特に聴いてて凄い!と感じたのが、第二幕でヤマドリさん(確か…)が3年も来ないピンカートンを未だ待ち続ける蝶々さんに「'捨てられた'ということは婚姻関係は既に成立しない」みたいなことを言うのですが(←すいません、対訳本がないため詳しくはわかりません)、それに対し、蝶々さんが「それは日本の法律,アメリカは…」と、2国のしきたりの違いを前者には『君が代』、後者には『星条旗』の旋律にのせて歌うところです。しかも、'la ... giapponese(←歌詞がわからず!)'というところのバックの音がとっても私好みで美しい。
ミレッラ・フレーニ&ホセ・カレーラス盤の2枚目4曲目1:37〜の部分です。持ってる方がいましたら聴いてみてください☆

また、歌手の動きは障子の開け方一つとっても演出家のこだわりを感じました。とりわけ第二部,三部ではひたすら女中のスズキのしとやかな振る舞いに目を奪われました。彼女の‘蝶々さんを心配し、涙する姿’には派手さこそないものの、華やかな蝶々さんと同じくらい日本的な美しさを秘めていました。

蝶々さんが自害したときに天から降る金と銀の紙吹雪も桜の花びらが散っているようで蝶々さんの命の儚さと美しさを象徴しているようでとても綺麗でした。幕が閉じる前に多くの観客が待ちきれずにフライング拍手状態でした。それだけ皆さん感極まったってことですね!

本当に全てが美しかった♪勇気を出して観に行ってよかったです。公演はあと明日一日残っています。興味のある方は機会を逃さなぬように(^v^)/~